大麦の種類
大麦の種類は二条大麦と六条大麦の2種に分けられます。
基本的には二条種がビールやウイスキーの主要な原料となっています。
2種の違いを見ていきましょう。
二条大麦
二条大麦の特徴は、粒が2列に並んでいることです。厳密には六条大麦と同じく6つの種子が存在しますが、2粒だけが成長しています。粒が大きく均一であり、デンプン質が多いのが特徴です。
別名ビール麦と呼ばれ、ビールの原料としても使用されます。
六条大麦
六条大麦の特徴は、粒が6列にならんでいることです。粒のサイズは二条大麦に比べて小さく、デンプン質の量も少ないです。しかし、酵素力が強いのが特徴です。
他の活用例では、麦茶や麦飯などに使われています。
大麦麦芽(モルト)について
モルト(英記:malt)は、ウイスキー作りには欠かせない原料です。
お酒を造るためには、発酵させてアルコールを得る必要があります。発酵は酵母の力を借りて糖(グルコース)をアルコールに変えることです。ワインの場合、原料のブドウにはブドウ糖(グルコース)の形で糖が含まれているので、ブドウを発酵させることができますが、大麦や他の穀物の場合、直接発酵させることはできません。
そこで、麦を発芽させ、麦芽を使用します。
麦などの種子にはデンプンと不活性の酵素(アミラーゼ)が含まれています。発芽すると酵素が活性化し、デンプンを糖に変える糖化が始まります。この仕組みは本来、種から芽がでて自分で光合成し、栄養が供給できるようになるまでのエネルギー供給の仕組みです。
この原理を応用し、大麦を発芽させ、発酵できるようにしたものがモルトなのです。
醸造でよく使用されるのは二条大麦
上で挙げた二条大麦と六条大麦の違いをまとめてみました。
二条大麦 | 六条大麦 | |
粒の大きさ | 大きい | 小さい |
均一性 | 均一 | 不揃い |
デンプン量 | 多い | 少ない |
アミラーゼの作用 | 弱い | 強い |
表から、二条大麦の方が粒が大きく均一で、デンプンの量が多いので発酵したときにアルコールが沢山回収できることが想像できます。
なので、二条大麦はビールやウイスキーの原料として重宝されているのです。
六条大麦は利用価値がないのかと言われると、そういう訳でもありません。二条種よりも酵素の力が強いので、他の穀物を糖化させる際に、六条大麦の麦芽を加え糖化を促進するのに使用されています。グレーンウイスキーにライ麦や小麦以外の原料でモルトが入っているのは、糖化の役割を担っているからなのです。
ウイスキーで使用される品種
現在ウイスキーの製造で使用される大麦の品種は、アルコールが効率よく回収できるよう改良された品種を使用しています。
モルトウイスキーの代表的な生産地であるスコットランドと日本で使用される品種を紹介します。
<スコットランド>
コンチェルト・ベルグレイヴィア・オクテイヴィア・オデッセイなど
スコットランドは5大ウイスキーであるスコッチウイスキーの生産国であり、アイリッシュウイスキーの生産地アイラ島と非常に近い位置関係にあります。古くからウイスキー製造のための大麦を研究していて、数々の優秀な品種を産み出しています。
<日本>
ニシノチカラ・みやぎ二条・金子ゴールデンなど
日本で大麦の生産が始まったのは明治時代以降と言われています。しかし、国産大麦の多くはビールの醸造用であったため、ウイスキー用の大麦は輸入に頼っていました。最近ではクラフト蒸留所で、国産の大麦を使用するところが増えているようです。
まとめ
・大麦はウイスキー造りに欠かせない
・二条大麦が主な原料
ウイスキーの原料である大麦は、二条種と六条種の2種類あり、二条大麦が主に原料として使用されていることが分かりました。また、大麦を発芽させた大麦麦芽(モルト)を使用することでアルコール発酵を効率的に行っていることが理解していただけたかと思います。
ウイスキーを楽しんで頂ける糧となれれば、幸いです。