酵母ってなに?
酵母(イースト菌)とは、微生物の1種です。
食品などに用いられるのは、出芽酵母の1種であるSaccharomyces cerevisiae(サッカロミセス セレビシアエ)です。
パンやお酒造りに使われる酵母はすべてこの酵母に分類されます。
大昔から人類の生活に関わっており、生物の研究においては全遺伝子配列が解読されるなど研究対象としても注目されています。
酵母のはたらき
酵母は嫌気環境(酸素のない環境)で糖を分解し、炭酸ガス(二酸化炭素)とアルコール(エタノール)を生成します。
この発酵をアルコール発酵といいます。
多くの酵母の場合、酸素のない環境でアルコール発酵をし、酸素があるときは呼吸をします。
Saccharomyces cerevisiaeの場合、酸素が多少存在する環境でもアルコール発酵をしてくれます。
発酵とは?
生き物が摂取した有機物を酸素を使わずに代謝してエネルギーを得ることです。
人にとって有益なものが得られる場合は発酵、そうでない場合は腐敗といいます。
ウイスキー造りの酵母
ウイスキーづくりには、ウイスキー造りの特性にあわせて開発された酵母が用いられています。
酵母は発酵の際に、アルコールに香りを与える成分を生成し、使う酵母によって香りが変化します。
酵母を使い分けることで、ウイスキーの特徴もコントロールできます。
代表的な酵母を紹介しましょう。
ディスティラリー酵母
1950年代に開発された蒸留酒用の酵母です。
高いアルコール収率性と発酵力を持ち、扱いも簡単なことからウイスキーづくりの主力となりました。
フレーバーにも優れ、エステリーな香りが特徴です。
エステリーとは、熟成による甘く華やかな香りのことです。フルーティな香りや花系の香りもエステリーに含まれます。
ブリュワーズ酵母
ビール酵母とも呼ばれ、ビール醸造に用いられます。
ディスティラリー酵母が開発される以前は、ブリュワーズ酵母を用いてウイスキーが作られていました。
芳醇な香りが特徴で、1950年以前のスコッチウイスキーに豊かな風味があったのはビール酵母のおかげだったのではという声もあります。
酵母に力を入れているのは、ビール製造会社が多くある日本とアメリカだそうです。
日本の某飲料会社は約3000種の酵母を保有しているのだとか。
現在では酵母に注目してウイスキーづくりをする蒸留所も増え、多種多様なウイスキーが生み出されています。